タイランド視察旅行報告


98年2月10日から15日まで、台東区異業種交流プラザ’91によるタイランド視察旅行に行って参りました。

タイから眺めると「情報の東の外れ」と感じていた日本の国が、今年はとうとう、バンコックからも見えなくなっていました。
滅多に外国へ行かない者ですから、皆さま方のような国際感覚はございませんが、それでも今の状態では、日本は東南アジアからは期待感どころか、同情されてしまうほどの体たらくでは、と思い知ったほどです。
まして日本からの「生活文化としての畳」の提案は殆ど無い状態でした。

しかしタイにも畳的な敷物はあります。
イグサ製の避暑用のござとか、寝御座布団の畳風のモノなど、昨年からも一段とレベルアップされた商品が広い生活層で人気を博しており、何と免税品店でも売られていたのには、驚きました。
三つ折りの畳式両面使いの布団や、半畳のマット畳、テレビ枕などのウレタン入りのモノは、デザインもなかなか工夫されており、デパートの売り場責任者の方に会って色々とお聞きしたら、テレビ枕など一部は日本にも輸出されているらしく、それには驚かされました。
タイはモンスーンの発生地ですから相当な湿気も有って、畳のような調湿性能が抜群でクッション材でもある畳的な敷物は、役立つのではないかと思えます。

首都バンコックは海抜1〜3メートルの低湿地帯にあり、何せミャンマー国境のクワイェ川山地の方へ向かって2時間も車で飛ばして行った辺りでもせいぜい標高40mで全く「平らーンド」なのですが、バンコックの市内中心部でも葦や蒲などの水棲植物が空き地の至る所に生えています。
その草は民具や、敷物などに使われるのでしょうが、刈り取って有った所も少しだけ見掛けましたが、ほとんどが沼地状態のままです。
また、三角イグサの仲間のカヤツリ草の根っこは、すり潰してお粥の調味料の一部で使うらしいのですが、残念ながら食卓では味わえませんでした。

さて、畳以外では低湿地帯ということから、工場地帯にしても相当に費用を掛け、地載力を充分持たせて埋め立てないと、機械類の重みに絶えられずに沈下してしまい使い物にならぬようです。
その工業地帯ではISO規格の看板も目立ち、経営者たちの感心事としてリサイクルと環境問題にも敏感な様子で、それはしっかりと働く工員達からも受取れました。

高速道路網とモノレール網の建設など、インフラ整備は相変わらずの道路の大渋滞の解消にと、相当活発に行われております。
丁度14日からは、自動車の排気ガス規制がスタートし、駐車中のアイドリングやクーラー運転は法律で禁止されましたので大変なのですが、早速忠実に守っていました。警察官の言う事には、絶対服従するようです。

経済活動も、1バーツで2,3円弱といった貨幣価値の下落にもめげず、中心地では又新しい高層ビルも建てられ、自家用車も新車が多くなり、安心度の高いメータータクシーが増えています。
元々物価も安くて、昔から食いっぱぐれのない国ではありますが、働く人々の立ち直りが早く、街中にはゴミも目立たず、遥かに活発で元気なようでした。

タイのそんな様子を見ていると、日本が国際競争力を付けるためには、飛び抜けた高付加価値のモノを産み出すか、即、物価と人件費や所得などを下げるしか無いのではないかと、一年前にはそれらを半分に切り下げてと思いましたが、今年はもう、三分の一にまでしないと、間に合わないのではないかと思えました。
リストラのなかなか進まぬ役所と国会が早く模範を示すべきでしょうし、今の日本の体たらくでは、諸外国からも馬鹿にされてしまって、援助金以外は当てにはされなくなりそうですね。

日本の技術力の高さの土台は中小企業であり、その評価と期待感は大変に強く、この大変化の時代をどう乗り切るのかを、世界中から見つめられているようです。
21世紀は、人と人の時代になりますから、日本の住文化生活からのヒントを、アピールしていくべきではないかと、つくづく思い知らされました。

1998.3.13 荒井将佳


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